トピックス

2025年1月27日

廃食用油の量に対するSAF需要

最近もセブンイレブンなどが参加する廃食用油回収のニュースが取りざたされており、使用済みの油で航空機が飛ぶという認識が更に広がってきていることを感じています。一方で、廃食用油から製造するSAFだけでは増大する需要を満たすことはできないといわれており、今回は具体的に廃食用油の量とSAF需要のギャップをご紹介しようと思います。

全国油脂事業協同組合連合会によると、国内で発生する廃食用油の量は約52~54万tと推定されています。その中で家庭から出るものは約10万tとされており、その大半が廃棄されています。前述のセブンイレブンらが参加するプロジェクトではこれらを廃棄から回収へと転換しSAFにするためのサプライチェーン構築の実証を目的としています。また、事業系の廃食用油はその大半がすでに回収されていますが、燃料以外に飼料や化学工業の原料などの形でも再利用されており、全てを燃料にすることは難しい状況にあります。

そして、2030年に国内で見込まれるSAF需要は171万kLとされています。kLとtの違い(1kLのSAFは0.75t前後)やそもそもの原料からの変換効率の問題もありますが、全てを燃料化したとしても足りないということが明確にわかります。また、この171万kLは航空燃料の10%をSAFにするという目標に基づく需要予測値であり、更に先、全ての航空燃料をSAFにする段階では廃食用油由来のSAFが占めうるシェアは極めて小さいものになります。

これまで廃棄されていたものをエネルギーに変えることは有意義である一方で、それだけでSAFの需要を賄うことは不可能です。この状況下でも既に普及した油脂の水素化によりSAFを生産するために、その原料となる油脂を新たに生産することをMOILは目指しています。