事業紹介

MOIL株式会社

MOIL株式会社

当社のバイオマス燃料は植物から作られるエネルギーです。
植物は育つ過程でCO₂を吸収するため、地球の温暖化防止に役立つ新エネルギーとして注目されています。日本も2030年までに温室効果ガス排出量を46%削減しようとしていることは周知の通りです。
特に当社が最も重視する持続可能な航空燃料(SAF)は世界的に需要拡大が見込まれているものの生産量が少なく、その重要性は非常に大きくなっています。
我々は千葉大など研究機関との共同開発を経て、作物の収量を大きく向上させる技術などを開発。原料となる油脂を大量生産、燃料に加工し安定供給出来るシステムを作り上げます。
さらにオイル以外の残渣もバイオマス発電などに活用し、より広範に再生可能エネルギーを供給することを目指しています。
MOIL株式会社

SAFが求められる背景

温室効果ガス削減の機運は各国、各分野で高まり続けており、航空燃料の分野でもSAFの必要性が訴えられています。
2021年10月8日には、全日本空輸株式会社(ANA)と日本航空株式会社(JAL) 両社がSAFの認知拡大および理解促進を目的とした共同レポート「2050年航空輸送におけるCO₂排出実質ゼロへ向けて」を策定しました。これ以降両社の代表取締役は報道に対しても共同で主旨を説明、SAFの必要性を伝えています。
このように両社が共同でSAFの量産を求める発信を行った背景には、SAFの重要性が増す中で日本における生産体制が整う目途が立たず、このままではSAFが調達できず大きなリスクが発生することへの危機感があります。
航空業界では2019年の水準からCO₂排出を増やさないことを定めており、この制度は2027年から国際民間航空機関(ICAO)の参加国に義務化されます。これに加え、2021年10月4日に国際航空運送協会(IATA)は2050年のCO₂排出量の目標をこれまでの2008年比50%減から実質ゼロへと引き上げました。さらに航空需要自体の増加も見込まれており、この目標を達成するために必要となるSAFの需要は非常に大きくなります。
その一方で、2024年の世界のSAF生産量は航空燃料全体の0.3%とごくわずかであり、日本でもようやく商業的な生産が始まったものの、原料である廃食用油は、SAFという新たな用途が生まれたことにより高騰しているだけでなく、そもそも絶対量として必要なSAFを賄うのには不足しており、将来的な供給の見通しは不透明です。
国内で十分なSAFが供給できなくなった場合、その分のCO₂排出を埋め合わせるCO₂市場取引のコストが国内の航空会社に発生するだけでなく、海外の航空会社が日本に就航しなくなる可能性すらあり、一部の食品や半導体など航空便で運ばれる資材の物流に与える影響は非常に大きくなることが予想されます。

MOILの技術

MOILはこのような重要性を持つSAFの生産に貢献するべく、原料の油脂が足りないことに着目し、廃食用油に依存せず、農業によって原料となる油脂を効率的に生産することを目標として研究開発を行ってきました。
その結果として、土壌菌を活用することにより農作物の生産性のみならず抗酸化力も向上させる技術を開発しました(特許第6986807号)。この技術により農業で能動的に生産できる植物油を原料にSAFの生産を実現することができます。
これによりSAFの生産という新たな産業が農地、地方から生まれることになり、航空業界の脱炭素のみならず地方創生にも貢献できるようになりました。
 
今後も技術の更なる発展を目指すと共に、パイロットスケールでの生産やそれに続く実生産に向け、規模、人員を拡大し事業を進めて参ります。
MOIL株式会社

エネルギーの地産地消、地方の脱炭素への貢献

植物油からはSAFだけでなくディーゼルやガソリンに当たる燃料など他のバイオ燃料も生み出され、航空機と同様に液体燃料からの転換が難しいトラックなどの輸送車両、農業機械やボイラーなどで活用することができます。地元の農地から生産できるエネルギーを、既存のインフラを流用して活用することにより、設備投資を抑えて地方の脱炭素を進められることはバイオ由来の液体燃料の大きなメリットです。
また、バイオ燃料や作物残渣を活用したバイオマス発電は発電のタイミングを調節できるという太陽光発電など他の再生可能な発電方法にはない利点があり、電力供給の安定化に重要かつ独自の役割を果しえます。

抗酸化力の向上により更に農業を盛り立てる

MOILの土壌菌がもたらすもう一つのメリットである農作物の抗酸化力の向上は、摂食時の健康への効果の増進や、作物がより日持ちするようになる効果をもたらします。また、MOILが燃料の主な原料とするカメリナの油はω-3脂肪酸を豊富に含みかつ元々抗酸化作用がある健康に効果的な油であり、食用としても有用です。
バイオエネルギー生産による新たな産業の誕生、地方の脱炭素への貢献だけでなく、食料を生産するという農業の王道の部分にも、生産効率向上、健康増進、日持ち延長による流通の改善といった効果をもたらすことで、農業をより高付加価値の産業へとレベルアップさせます。